23年に発売され、第21回本屋大賞で大賞も受賞した本著。
本屋さんは勿論、SNSでも非常に話題で、見たい見たいなぁと思っていましたが、ようやく見ることができました。
結論、面白い!!成瀬の魅力にどっぷりハマり、読む手が止まらずドンドン読み進めていました。また、単純に面白いだけではなく、成瀬の周りの登場人物同様、自分自身も成瀬に惹かれているのが物凄く分かりました。
成瀬は次に何をするんだろう?
そんな期待感を感じずにはいられませんでしたし、自分自身もそんな魅力的な人間になりたいと思った素敵な本でした。
書籍情報
- 書名:成瀬は天下を取りにいく
- 著者:宮島未奈
- 出版社:新潮社
- 発売年:2023年
- ジャンル:文芸作品・青春・成長
- ページ数:208ページ
内容概要:
200歳まで生きると宣言した女子高生・成瀬あかり。
一見“変わり者”のように見える彼女は、次々に型破りな行動を起こしていく——
けん玉、シャボン玉、西武大津店通い、そしてM-1グランプリ出場。
やりたいと思ったら即行動する彼女の姿は、周囲の人たちを少しずつ変えていく。
成瀬のまっすぐな生き方に触れ、人生を前向きに見つめ直したくなる、そんな物語。
こんな人におすすめ:
- 行動力がほしい、自信がないと感じている方
- 青春小説や成長物語が好きな方
- 新しいことに挑戦する勇気をもらいたい方
成瀬あかりという存在のインパクト
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」
引用:『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈
そんなセリフから始まるこの物語。
一般の女子中学生では絶対にあり得ないような発言(笑)。この序盤からなんだなんだ?とグッと成瀬の魅力に引き込まれ、その行動力に感嘆します。
けん玉、シャボン玉、西武大津店通い、M-1挑戦、髪の毛の成長速度を検証するために坊主にするなど、
「え、それやる!?」という行動の連続。
でもそれは、彼女なりの“やりたい”に正直な生き方であり、
読者である私たちにも「やってみるって、それだけで価値があるんだよ」と背中を押してくれます。
特に印象的だった3つのポイント
1|周囲の人をも動かす“まっすぐさ”
成瀬は、自分の信じたことを迷いなくやる。
最初は気乗りしていなかった相方・島崎でさえ、彼女と関わるうちに変わっていく。
成瀬のまっすぐな姿勢に、人は自然と引き寄せられていく。
読んでいる自分もまた、「次は何をするんだろう?」と彼女の行動にワクワクしてしまいました。
2|とにかく“やってみる”実行力
成功する人の共通点って、「とりあえずやってみる」ことなんだと思います。
成瀬はまさにそれを地でいく存在。
- 毎日百貨店に通い続ける
- 高校生でM-1に挑戦する
- 坊主になって髪の成長速度を測る
普通は“やらない理由”を探してしまう場面で、彼女は即行動する。
「思ったことを、まずやってみる」
このシンプルさが、実は一番難しいけれど、一番大切なのかもしれません。
3|強さの裏にある“弱さ”が愛おしい
物語の終盤、成瀬は一緒にM-1に出場した島崎が東京へ行くことを知り、明らかに調子を崩していきます。
どこか機械的で、感情の見えにくかった彼女が取り乱す姿に、成瀬も普通の女の子なんだなと思いました。
文中では語られていませんでしたが、成瀬が本当に200歳生きるとして、ただ単純に生きることではなく、誰と生きる、どう生きるかに意義を見出すタイミングもあるのではないかと思いました。
事実、島崎と30年会えない想像をした時の取り乱し方が、それを物語ってたのではないかなと。
心に残った一言
「来年になったらもっと別のことをやりたくなっているかもしれない。どちらにせよ、これで一生『M-1グランプリに出たことがある』と言えるようになったな」
引用:『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈
“とりあえずやってみた”からこそ手に入れられる、自分だけのストーリー。
やらなかったことより、やったことが人生を形作っていくんだと改めて感じた一言です。
まとめ
特に物語終盤には、自分自身も登場人物の一人になったように、成瀬あかりという人物に魅力されていることに気付きました。
次はどんなことをおこなってくれるのだろう?
そんな成瀬にワクワクしながら、自分の気持ちもポジティブにさせられる。
何かを始めることに大義なんて要らず、ただ自分やりたいことをやればいい。そんな成瀬あかりにそっと背中を押されているような不思議な感覚を感じた本でした。

ストーリーのテンポもいいですし、内容も面白い、何より自分も何かやってみよう!と思わせてくれます。老若男女問わず、是非色んな方に読んで頂きたいです。
コメント